―三上さんは「冷えとり」歴15年とお聞きしました。
そうですね。毎日半身浴1時間、4枚重ねのソックスを履いて寝て、昼間も最低2枚のソックスを重ね履き。冷えとり靴下を自分でプロデュースしているわたしですが、最初から冷えとり上手だったわけではありません。スタイリストという仕事柄、素足にピンヒールで出かけたり、冷たい飲み物も大好き、忙しいから入浴はシャワーだけで済ましたり、たまにバスタブにつかってもカラスの行水だったりと、「冷え」に対しての意識はけっして高いほうではありませんでした。
―なにかきっかけがあったのでしょうか。
40歳のときに病気になったのです。それまでも生理が重いほうでしたが、いつにない膨満感に異常を覚えて病院へいったら子宮に10ケ以上の筋腫や嚢腫ができていて……。ショックでした。当時はこどもも欲しかったし、開腹手術をしないで治療する方法を探しました。
まず漢方。これは時間がかかると聞かされていましたが、半年続けても効果がなくやめました。つぎにホルモン治療、これも効果が見られず。その次はホメオパシー。本当にありとあらゆる治療法を試して、最後に出会ったのが「冷えとり」でした。
―すぐ効果が実感できましたか。
最初は5本指の靴下を履くだけでイラッとしていました。足元がモタつくように感じたし、当時はデザイン的にも優れたものが少なくて「こんなの履きたくない」と思うものばかりだったしね。でも3か月くらい続けたころ、とつぜん”無痛”の生理が来たんです。こどものころから生理の時には鎮痛剤を飲んでいたほど生理痛に悩まされていたので、無痛の生理だなんて理解できずに不正出血だと思ったくらい、意外なできごとでした。
―具体的にはどんなことを続けたんですか?
まずはバスタブにつかること。38〜39度くらいの湯温で20分間おへそまでつかる半身浴から始めました。いまは毎日1時間お風呂に入っています。好きな本を読んだり、韓流ドラマのDVDをみたり(笑)。お風呂のなかだと血行が良くなるせいか、頭のめぐりも良くなって、いろいろアイデアも浮かぶんですよね。仕事上で行き詰っているときなど、ハッとするような構想を思いついたり。わたしとしてはメッセージを受け取っていると思っているんだけれど、それを逃さないように最近はバスルームに紙とペンを常備しています。
―私は冷え症ではないのですが……
よく足が火照る人は自分は冷えていないというけれど、それは身体が冷えた手足など末端に血液を送ろうとして熱を発している状態。つまり冷えすぎているのですが、自分では気づいていないのです。自分では冷えてないと思っている”隠れ冷え症”のほうが深刻なんですよ。
―冷えをとると明るい性格になって痩せるって本当ですか。
「冷えとり」をしていると食べ物に執着しなくなって痩せるという話をよく聞きます。わたしも徐々にですが8キロほど痩せました。どうやら身体が冷えていると脳が「もっと食べたい」と指令を出すようなのです。冷えをとることで身体も心もゆるんでほどけることから、怒り、不安、罪悪感、食べることへの執着などから解き放たれ、ありままの自分を受容できるようになります。たとえばわたしは甘えベタで他人に頼ることが苦手だったのですが、いまは「これはわたしにはできないからお願い」と誰かに頼ることができるようになりました。いつもイライラとして怒りっぽかった性格も、のんびりおおらかな心持ちでいられるようになっています。この変化は本当にありがたく、毎日楽しく笑って過ごせることがなにより幸せです。
「冷えとり」は自分で自分を受け入れ、大切にする=愛するということ。まずは自分が自分を愛さなければ、他人に愛されることもないでしょう。わたしにとっては、「冷えとり」があらためて自分というものを見つめなおすきっかけになったのです。この経験をできるだけ多くの人に知っていただきたい、続けていただきたいという一心で靴下をプロデュースし続けています。